★★★序論★★★
- ジャン・ボダン 『国家論六篇 1576年 公刊
- 国家と主権→近代国際法理論形成の中核 評価することが前提作業
- 「最高の暴力の担い手を、国内的領域のみならず国際的関係においても
法の制約の下に置いた」 - ボダン定義の「主権観念」→「国家と国際法の結合」
- 「主権を有する国家間の関係を規律する法規範としての国際法」→近代国際法
- ボダンの国家論→近代国際法と短絡的に結びつけてはいけない
→基本的視座を得ること
★★★第一章 ボタンの国家・主権理論と「国家論」における・・・★★★
■第一節 国家理論
- (一)「国家」の定義
・「国家とは、複数の家についての、そしてそれらに共通なものについての、
主権的権力を伴う、正しき統治である」(仏語版)
・「国家とは、最高支配権及び理性により指導される、諸処の家及びそれらに
共通なものの集合体である。」(ラテン語版)
・「国家とは、一つの且つ同一の支配権に従属する、諸処の家または団体の
集合体以外の何物でもない。」(「方法」)→主権の不可分性、主権者対従属者
→近代的二項対立構造
→封建的身分制度の存在を当然視 - (二)国家の構成単位としての「家」
・「家」とは「家長への服従の下での、複数の臣民についての、
そしてそれらの者に固有の事物についての、正しき統治」
・「家族」は「国家全体の真の淵源であり、期限である」
・「家」が国家構成単位→個人が構成単位 に行き届いていない - (三)国家像
・家産国家→封建的国家像 近代的国家像 の折衷
■第二節 主権理論:「主権」の定義と主権者の属性
- (一)「主権」の定義と「絶対性」
・「主権」とは「一国の絶対且つ永遠の権能」(仏語版)
「法により制約されない、市民及び臣民に対する最高の権力」(ラテン語版)
・「私は、この{主権的}権力が永遠であると述べた。その理由は、人々が一または複数の
者に絶対的権力を一定期間与えることが可能になると、其の期間が終了すれば、
彼らはもはや臣民ではないからである。」
・「国家の人民や領主たちは、主権的で永遠の権力をあるものに与えることが出来る。
その者は、財産・人格・全ての身分を任意に処分し、それをその者が望むものに
授与することが出来る。」→臣民は一切の抵抗権を否定されている。 - (二)主権者の属性
・第一権能:法律を与える権能
・戦争を命じ講話を行う権能
・役人を選出する権能
・最終審裁判
・恩赦付与
■第三節「国家論における「国際関係」・「国際法」の位置づけ
- 王政 貴族制 民衆性→王政が優れてる
★★★第二章 主権者間の関係を規律する法規範の存在可能性と「国際法規範」
■第一節 主権(者)に対する制約と主権の絶対性
- (一)主権(者)に対する制約
・絶対的主権者→神のみ 主権者は神のみに責任を負う 神の法に制約される
・自然法に制約される
・全ての人民に共通ないくつかの人定法→制約される→主権の絶対性と矛盾する - (二)主権の絶対性との矛盾解消の論理
・主権者→契約遵守義務がある 信義則 神法 自然法
全ての人民に共通ないくつかの認定法
・主権者間の関係も上と同じ
・君主の権力は常に正義に従って計測されなければならないことに鑑みれば、
誠実に合致しないいかなる事も君主は行い得るということは、法における
矛盾である。
■第二節 主権者間の関係を規律する法規範の存在の可能性
■第三節「国際法的規範」
- (一)「国際法的規範」への言及
・「国家平等原則」
・条約遵守義務
・信義則→神聖且つ不可侵
・条約締結権
・条約の継承 - (二)「国際法的規範」を巡る議論の特色
- (三)「国際法的規範」の評価
・「国家」と「主権者」の観念的分離がなされていない
★★★第三章 ボタンのゲンティウム観念★★★
■第一節 ボタンの法観念
- (一)「法」の定義と分類
・法→衡平
・法律→主権者の命令→神と自然によって与えられた命令
・分離→人定法→ユース・ゲンティウムと市民法に分類される
・ユース・ゲンティウム、ユース・コムーネ(ヨーロッパ大陸共通法)
→諸人民に共通する法 - (二)法の階層性の認識と主権者の立法権
■第二節 ボタンのユース・ゲンティウム観念
- (一)「分類」におけるユース・ゲンティウム
・公的な者 ・私的な者 - (二)「方法」及び「国家論」におけるユース・ゲンティウムへの言及
・諸民族間、書国家間を調整 統合する法規範の存在
・普遍的人類に共通の法 - (三)ボタンのユース・ゲンティウム観念の評価・多面性と予定調和
■結論主権理論と近代国際法との関係
- 主権の絶対性は制約される
- 主権者間の関係を規律する法がある
- 「分類」に示されたユース・ゲンティウム観念は、
主権者間の関係を規律する規範を含み得る - 「方法」及び「国家論」についても同じ
- 第一 主権者と国家が分離されていない(封建的身分制を包した多層構造)
- 第二 主権と主権者 が見分離
- 「主権者の試験」と「国家主権」が身分離
- 主権者の信義、や誓約という主権者個人の内心やb行為を重視
- 「国家が主権を有する」「抽象的法人格としての国家は構想されていない」
- 「主権国家間の関係を起立する法規範としての国際法」近代的国際法観念 はない
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